腫瘍マーカ検査(血液検査) | ||
AFP
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肝臓 | 2センチ以下の原発性肝臓がんでは約半数が陽性となり、早期発見に有効とされ、病期の進行とともに陽性率は上昇します。 |
CEA | 全体 | CEAは日本語訳で「がん胎児性抗原」とよばれ、各種のがんの確定診断における補助的な検査です。古い歴史をもつため、本項目を提供しているドック・総合健診は多いですが、消化器系のがんだけでなく種々のがんで増量するため、臓器特異性が少ないです。炎症、糖尿病、腎不全でも増量します。 |
PSA | 前立腺 | 前立腺がん、良性前立腺肥大、前立腺炎等の前立腺疾患で高値になり、早期発見に有効です。また前立腺の炎症がある場合も値が高くなり、確定診断には生検による病理学的検査が必要です。 |
CA125 | 卵巣 | 主に卵巣がんのマーカーであるが子宮内膜のがんや子宮けいがんや肺がん、肝がん、胆嚢がん、膵がん、など他のがんでも上昇します。良性卵巣嚢腫、子宮内膜症、子宮筋腫、炎症等の非がん疾患でも上昇します。妊娠早期や月経期、更年期初期に数値の上昇がみられることがあり、月経周期を鑑みて採血を行う必要があります。 |
CA15-3 | 乳房 | 日本では乳がん検診に広く定着している腫瘍マーカーですが、乳がんに対する特異性はそれほど高くありません。乳がん手術後の経過をみる(再発の発見や治療効果の判定)には効果的です。 |
エラスターゼ 1 | 膵臓 | 急性膵炎、慢性膵炎、膵がんや胆道系疾患において膵臓の炎症、膵管の狭窄による膵液の血中への逸脱で高値になります。 |
シフラ 21-1 | 肺 | 比較的新しい腫瘍マーカーであり、全肺がんでは57.5%が陽性を示し、肺の良性疾患では15.0%と低率で、肺がんへの特異性が高く、肺がんが疑われる状況での補助診断として有用です。 |
血液検査の簡単チェック
分類 | 検査項目名称 | 略称 | 検査内容 |
肝機能 | 総蛋白 | TP | 栄養状態と肝・腎機能の指標。肝硬変やネフローゼによる低蛋白血症で低下し、脱水や多発性骨髄腫などで上昇。 |
総ビリルビン | T-Bil | ヘモグロビンやポルフィリン体の分解産物。総ビリルビンとその分画は、肝疾患の診断、黄疸の鑑別に有用。 | |
直接ビリルビン | D-Bil | 肝でグルクロン酸抱合を受けたビリルビン。総ビリルビンとともに、肝疾患の診断、黄疸の鑑別などに重要な検査。 | |
アルブミン | Alb | 肝臓で合成される血中の主たる輸送体蛋白。栄養状態の悪化や肝障害の程度を反映して低下する。 | |
ロイシンアミノペプチターゼ | LAP | さまざまな臓器や胆汁中に広く分布する加水分解酵素。黄疸の鑑別や肝・胆道系疾患の診断、経過観察などに用いられる。 | |
アラニンアミノトランスフェラーゼ | ALT(GPT) | 肝細胞の破壊に伴い血中に逸脱する酵素。AST(GOT)よりも肝に特異性が高く、肝炎の病勢指標に用いられる。 | |
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ | AST(GOT) | 代表的な肝機能の指標。肝細胞障害で血中に逸脱するが、骨格筋、心筋、赤血球などの破壊でも上昇をみる。 | |
γグルタミントランスペプチターゼ | γ-GP(γ-GTP) | 肝・胆道系障害のスクリーニングに用いられる検査。肝ミクロゾームでの薬物代謝に関与する酵素で、胆汁うっ滞や、アルコール性、薬剤性肝障害で上昇する。 | |
コリンエステラーゼ | ChE | コリンエステルをコリンと有機酸に加水分解する酵素。主に肝疾患により低下し、有機リン剤による中毒でも低値をとる。 | |
アルカリフォスターゼ | ALP | 肝障害、胆汁うっ滞や骨疾患、妊娠等で上昇を示す酵素。血液型がB型、O型の人はやや高め。 | |
乳酸脱水素酵素 | LDH | ほとんどの組織や臓器に分布する酵素。貧血、炎症、腫瘍など汎用的なスクリーニング検査として用いられる。 | |
腎機能 | 尿酸 | UA | 腎臓から排泄される核酸の最終代謝産物。高値の場合は、痛風や痛風腎、尿路結石症を発症する。 |
尿素窒素 | BUN | 血液中に含まれる尿素窒素。腎機能の指標として広く利用され、腎不全、熱傷、消化管出血や高蛋白食摂取で上昇。 | |
クレアチニン | CRE | 筋肉内でクレアチンから産生される非蛋白性の窒素化合物。食事など外的因子の影響を受けない腎機能の優れた指標。 | |
膵臓 | アミラーゼ | AMY | 膵外分泌機能障害を伴う疾患で低値に。 |
筋肉 | クレアチンキナーゼ | CPK(CK) | 骨格筋や心筋の崩壊を反映して上昇する酵素。急性心筋梗塞や多発性筋炎で上昇。 |
糖尿病 | 血糖(グルコース) | BS(GLU) | 「血糖値」と呼ばれる。糖尿病の基本的な検査。食事の前後で変動が大きいが、空腹時で126mg/dl以上は糖尿病を疑う。 |
ヘモグロビンA1c | HbA1c | 糖が非酵素的に結合したヘモグロビン。糖尿病患者における過去1~3カ月の長期血糖コントロールの指標。 | |
脂質 | 総コレステロール | T-Cho | 原発性・続発性高コレステロール血症のスクリーニング検査。 |
中性脂肪 | TG | 動脈硬化の危険因子。食後は高値になるため、採血は空腹時に行う。 | |
高比重リポ蛋白-コレステロール | HDL-Cho | HDLというリポ蛋白の粒子に含まれるコレステロール。一般に善玉コレステロールと呼ばれ、低値は動脈硬化の危険因子。 | |
高比重リポ蛋白-コレステロール | LDL-Cho | LDLというリポ蛋白粒子に含まれるコレステロール。俗に「悪玉コレステロール」と呼ばれ、高値は冠動脈疾患の危険因子。 | |
電解質 | ナトリウム | Na | 細胞外液中の陽イオンの主体。主要な浸透圧活性物質。 |
カリウム | K | 異常高値の場合には心室細動から心停止を起こす。血球内に多く含まれるため溶血による見かけ上の高値に注意。 | |
クロール | Cl | 酸塩基平衡異常の診断に有用な検査。血中の代表的陰イオンでNaと共に測定し両者のバランスにより診断。 | |
カルシウム | Ca | 骨代謝だけではなく筋収縮、血液凝固にも必須な物質。PTH、ビタミンD、カルシトニン等が血中濃度を厳密にコントロール。 | |
無機リン | P | 副甲状腺ホルモンおよびビタミンDにより調節される生体内の重要な無機物。血中では大部分がH2PO4-とHPO42-として存在。 | |
炎症反応・血液腫瘍・貧血 | 白血球数 | WBC | 白血病などの血液疾患や炎症性疾患の診断・経過観察に用いられるスクリーニング検査。 |
赤血球数 | RBC | 貧血、多血症の診断に用いられる基本的な検査。 | |
C反応性蛋白 | CRP | 代表的な急性相反応物質。炎症性疾患や体内組織の崩壊がある場合に血中で増加し、炎症マーカーとして用いられる。 | |
好塩基球 | NE-Baso | 白血球の成分を調べて、血液疾患や感染症等の有無を調べます。 | |
好酸球 | NE-Eosino | Ⅰ型アレルギーで炎症細胞の一つとして増加する白血球。寄生虫感染でも増加することが知られている。 | |
リンパ球 | NE-Lympho | 白血球の成分を調べて、血液疾患や感染症等の有無を調べます。 | |
単球 | NE-Mono | 白血球の成分を調べて、血液疾患や感染症等の有無を調べます。 | |
顆粒球 | NE-Neutr | 白血球の成分を調べて、血液疾患や感染症等の有無を調べます。 | |
血色色素 | Hb | 赤血球中の赤い色素の割合を示し、貧血の度合いを調べます。 | |
ヘマトクリット | Ht | 全血液中の赤血球の割合を示し、貧血の度合いを調べます。 | |
平均赤血球容積 | MCV | 貧血、多血症の診断に用いられる検査。 | |
平均赤血球血色素量 | MCH | 貧血、多血症の診断に用いられる検査。 | |
平均赤血球色素濃度 | MCHC | 貧血、多血症の診断に用いられる検査。 | |
血小板数 | Plt | 出血傾向の発見と肝臓病の経過観察に用います。 | |
鉄 | Fe | 血液中の鉄分の量を表し、鉄欠乏性貧血の時は減少します。 | |
フェリチン | フェリチン | 貯蔵鉄量の指針。 | |
不飽和鉄結合能 | UIBC | 鉄輸送蛋白の鉄が結合していない部分で、鉄結合予備能を表します。 | |
総鉄結合能 | TIBC | 不飽和鉄結合能と血清鉄の量を合わせたもので、トランスフェリンの量を鉄の量に換算して表しています。 | |
凝固 | 活性化部分トロンボプラスチン時間 | APTT | 内因性凝固活性の指標です。PTと共に出血性素因が疑われる患者のスクリーニングに用います。 |
プロトロンビン時間 | PT | 外因性凝固活性を総合的に判定するための指標です。 | |
プロトロンビン時間国際標準化比 | INR | 抗凝固剤(ワーファリン)投与時のモニタリングに用いる。 | |
トロンボテスト | TT | 抗凝固剤(ワーファリン)投与時のモニタリングに用いる。 | |
検尿 | 尿蛋白定性 | 尿-蛋白定性 | 腎臓病を調べるための検査。 |
尿糖定性 | 尿-糖定性 | 糖尿病の可能性を判定する目安。 | |
尿潜血反応 | 尿-潜血反応 | 腎臓病や結石、膀胱炎の時には血尿が出る。 | |
尿ウロビリノーゲン | 尿-ウロビリ | 肝機能障害の時には陽性反応が出る。 | |
ホルモン | インスリン | インスリン | 糖代謝ならびにアミノ酸、脂質代謝などに関与する膵由来のホルモン。糖尿病の診断・病態把握、膵機能の診断に有用。 |
甲状腺刺激ホルモン | TSH | 下垂体前葉から分泌され、甲状腺ホルモンの分泌を刺激する糖蛋白。甲状腺に異常がある場合、まず第一に測定される。 | |
遊離トリヨードサイロニン | FT3 | 甲状腺ホルモンの一種、T3の遊離型。血中T3の大半はほとんどが蛋白と結合し活性を持たないが、本検査は生物活性を持つ遊離型を定量。 | |
遊離サイロキシン | FT4 | 甲状腺ホルモンの一種。T4は、ほとんどが蛋白と結合しており活性を持たないが、本検査は生物活性を持つ遊離型を定量。 | |
レニン活性 | レニン活性 | 昇圧作用をもつアンジオテンシンⅠを生成する蛋白質。産生されたアンジオテンシンⅠの量からレニンの動態把握を行う検査。 | |
コルチゾール | コルチゾール | ACTHにより調節され、主に副腎皮質束状層から分泌される糖質コルチコイド。過剰でクッシング症候群、不足でアジソン病を起こす。 | |
アルドステロン | アルドステロン | 代表的な鉱質コルチコイド。レニン-アンジオテンシン系により調節されているため、レニンの同時測定が病態把握に有用。 | |
カテコラミン3分画 | カテコラミンF3 | 昇圧作用を持つホルモン。褐色細胞腫で高値。ストレスの影響や日内変動が大きいため尿中濃度測定も有用。 | |
脳性ナトリウム利尿ペプチド | BNP | 心臓の心室より分泌されるホルモン。慢性心不全、および急性の心疾患の病態把握や予後の推定に有用。 | |
ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド | HANP | 主として心房で合成・貯蔵され血中に分泌されるホルモン。各種心疾患および腎疾患で重症度に並行して高値となる。 | |
アンジオテンシン転換酵素 | ACE | アンジオテンシンⅠをⅡに変換する酵素。サルコイドーシスで高値になる。 | |
腫瘍マーカー | 癌胎児性抗原 | CEA | 消化管の悪性腫瘍を中心に、もっとも汎用的に用いられる血中腫瘍マーカー。 |
α-フェトプロテイン | AFP | 肝細胞癌で上昇する、本来は胎児肝細胞由来の血清腫瘍マーカー。肝炎や肝硬変でも軽度~中等度に上昇をみる。 | |
神経特異エノラーゼ | NSE | 肺小細胞癌、神経芽細胞腫、神経内分泌系腫瘍の診断と経過観察に有用な血中腫瘍マーカー。 | |
扁平上皮癌関連抗原 | SCC抗原 | 子宮頚部、肺、食道、頭頚部、尿路・性器、皮膚などの各扁平上皮癌で高値となる血清腫瘍マーカー。 | |
CA 19-9 | CA 19-9 | 膵癌、胆道癌をはじめとする各種消化器癌で上昇する血中腫瘍マーカー。血液型Lewis抗原の影響を受ける。 | |
前立腺特異抗原 | PSA | PSAのうち、米国FDAの認可を受けているため世界的にも評価されている測定法。 |